『スーパーカブ』 美術ボード集 【前編】

『スーパーカブ』 美術ボード集 【前編】

『スーパーカブ』 美術ボード集 【前編】

 両親も友達も趣味もない、「ないないの女の子」小熊。そんな彼女の単調な生活は、ふと見かけた中古のカブを買ったことで、少しずつ変わり始める――。
 現在放送中の角川スニーカー文庫にて刊行中のライトノベル原作作品『スーパーカブ』。
 次回掲載予定のインタビューに先駆けて、本作を彩る美術ボードを美術監督の須江信人と畠山佑貴のコメント付きで掲載する。

2021年5月20日(木)


■小熊たちが通う高校前・早朝

今回の美術の方向性は、印象重視でした。すべて描きこむのではなく、見せるところだけを描きこむ方法です。たとえば、こういった電柱のツタの部分なんかをちゃんと描くことで、電柱であることを表現する。情報の取捨選択が大事な作品だったんです。(畠山)

■ガソリンスタンド・夜

アニメの夜って、多くの場合、黒ではなく青い感じになるんですよね。でも、この作品では藤井監督の指示で夜を黒に近づけていったんです。もしかすると、山梨の実際の夜よりも、暗いかもしれません。ロケハンで感じた藤井監督の夜のイメージが、こういうものだったのかもしれません。(須江)

■小熊たちが通う高校・駐車場

駐輪場は3Dで作りました。手描きだと、多少デフォルメが入りますが、3Dで作れば形とパースが保証されるので、より現実に忠実なものになります。(須江)

■夢のなか・菜の花畑

道路は押しなべて汚しを入れて出そうと思っていたんです。これは現実感を出すためですね。ただここに限っては現実の空間ではなく、小熊の夢の世界でしたので、あえて明るめにしてきれいに仕上げました。本作では珍しい部類の背景です。(畠山)

■富士山・全景・昼

富士山は地面の色を実際の赤茶系の色にしていたり、場所によって色を変えていますね。あとは、冠雪が少なめなことを意識しました。雪の積もってない富士山を描くことが、普段はあまりありませんから、地味になるのではないかとも思って少し不安ではありました。でも、実際にシーンとして繋がった状態で見るといい感じに見えたと思います(笑)。(畠山)


後編はこちら


●その他の『スーパーカブ』インタビューはこちら
https://st-kai.jp/works/supercub/

●公式サイト
https://supercub-anime.com/